魚は昼に揚がった昼網をはじめ、新鮮なものを買い付けています。神戸の契約農家で収穫した野菜を使い、地産地消も取り入れながら品質の高いものを厳選しています。
新鮮で安心な食材を探し選び抜くことで必要以上の調味料をおさえ、お客さまには素材の味そのままを生かしたおいしさをご提供いたします。
食材の産地へ通い生産者の品質に対する想いや、そのためにかけた手間暇を確めて仕入れています。シェフやオーナーが実際に自分の舌で食し、そのなかで新しい食材との出会いがあれば、メニューに取り入れてお客さまの席へお届けしています。
すべてのスタッフが、農業体験や漁業体験を通じて食べ物の大切さ、自然の恵を学んでいます。
淡路島の底曳網漁に参加したり、神戸の200坪の自然農園で作付けし、野菜を育てる収穫体験も実施。お客さまにお出しするものに、どのような背景と価値があるのかを、きちんと理解したサービスに努めています。
蘇州園では、シェフが食材の産地に足を運び、生産者の顔が見えることろから信頼の置けるものだけを仕入れています。お料理の向こう側にいる生産者の皆さま。
彼らのこだわりに溢れた、さまざまなストーリーをお愉しみください。
関西の舌をうならせる、河内鴨。
ツムラ本店 津村佳彦氏
明治の時代から、ずっと鴨一筋。抗生物質や筋肉増強剤は一切使わへんし、餌は無農薬。昔ながらの平飼いやから、たくさん走っていい筋肉がつく。水浴びもするから病気もしません。うちのロースは、お造りにできますから。鴨のお造り、食べたことあります?はじめて食べた人には「魚よりうまい」と言われます。魚より甘みがあってクセがないから。
今は業務が細分化しているから、ひよこをかえすところからさばくところまで、全部できるのはうちくらいです。どんな育て方をしたらどんな肉になるか、知り尽くしています。いま卸しているのは大阪近郊だけ。関西の舌をうならせたい。東京に卸す予定はありません。東京で認められたら一番やってみんな言いますけど、本当の一番は、東京の人がこっちまで食べにくることやと思うんです。
ゆっくりと「神戸牛」になっていく。
城谷農場 城谷さん親子
「神戸牛」というのは肉の名前で、牛の種類は「但馬牛」。兵庫県に古くから生息する牛です。城谷農場では8~9ヶ月の子牛を市場から購入し、出荷できるようになるまで2年弱、じっくりと大切に育てています。特に気をつかうのは毎日の健康管理と餌の与え方です。買ってきてすぐの子牛は太らせようとして急に栄養分の高い餌を与えても食べません。まずは藁と、乾燥飼料のみを与え、丈夫な身体をつくります。その後は成長にあわせて餌の量や配合を4段階に変えて与えます。 他にも、毎日の餌の食べ具合や耳のたれ方で、1頭1頭の体調をチェックすることも欠かせません。
但馬牛はもともと穏やかな性格をもっていますから、その特徴を活かし、ゆったりと自然に育ててやるのが一番だと考えています。暑いのは、苦手なので、夏になると牛舎の中の送風機を回したり、屋根に石灰と白セメントを混ぜたものを散布して温度が上がるのを防いだりと快適に過ごすための手助けをしてやります。年間を通じて天気や湿度が安定した穏やかな環境が神戸牛の良い肉質を支えているのではないでしょうか。