「その土地の人々や自然環境と共存しながら成り立っていくところ」
そこには、土地それぞれの慣わしや、人それぞれの想い、
その場所にしかない自然の恵みが反映されていき、次第に形をなしていく。
そこで働くキッチンメンバーやレストランメンバー、ウェディングメンバーやオフィスメンバー、
それぞれの顔が思い浮かび、訪れたくなるような空間でありたい。
そんなパーソナルタッチのある場所を我々が創造していき、
もっともっと広い視野で世界を幸せに、豊かにしていきたい。
THE GARDEN PLACE SOSHUEN
昭和9年(1934年)、神戸御影。旧財閥の別邸がこの地に建てられました。 それは当時としては珍しい三層からなる、絢爛豪華な純和風建築。昭和21年、邸宅のオーナーとなった企業家は料理店を開業します。 1600坪の広大な敷地には小川が流れ、庭園には四季折々の木々が息吹く場所を彼が憧れていた「人間天堂(地上の楽園)」の地、中国・蘇州の美しい庭園になぞらえて「蘇州園」と名付けました。
蘇州とは豊かな自然のもとに、文化人が集い、磨き上げてきた雅な文化が生まれた場所。 同じようにこの「蘇州園」には、おおらかでありながら人の感性を心地よく揺さぶる自然と趣があります。
必要以上に手を加え飾りたてるのではなく、窓に映える命の景色や、受け継がれてきた建物の風情、食材の素のあじわいを、ありのまま、あるがままに愉しめる食事の時間。その時間とともに思い起こす、暮らしのなかで大切にすべきものたち。 蘇州園のおもてなしとは心の豊かさを深める人間が人間らしくいられるひと時です。
築80年の邸宅に、東アジアのオリエンタルテイストを加えた蘇州園。新しく建てようとしても、同じものを建てることはできないと言われています。釘を一本も使わない「組子作り」の建具。 長らく神戸の財界人の自宅として客人を招いてきた温もりのあるたたずまいは、今日にも変わらない安らぎを伝えてくれます。
樹木と草花が育ち、青い芝生の奥に豊かな森が見える庭園。このお庭の木は、造園以来一本も植え替えることなく神戸御影の気候に育まれてきた力強い命の姿。夜のライトアップされた木々の表情や雪景色。また桜、つつじ、紅葉と移り変わる四季折々の姿がお料理のあじわいをいっそう引き立てます。
蘇州園は人の手でおもてなしすることを心がけています。たとえば、玄関の引き戸は内側だけに取手があり、邸宅時代に家人がお客さまをお迎えした習わしを継承。エレベーターもなく階段での上り下りは少し不便ですが、便利にするよりも、昔ながらの風情を愉しみ、大切にしています。
約束ごとはあっても、マニュアルはつくらない。なぜなら一人ひとりへのおもてなしは、一期一会のもの。まるで自宅にお招きしたときのように寛いでいただくために、型にはまったおもてなしはいたしません。
蘇州園のすべてのスタッフが、農業体験や漁業体験を通じて食べ物の尊さ、自然の恵みを学んでいます。皆さまにお出しするものに、どのような背景と価値があるのかを一人ひとりがきちんと理解してサービスにあたっています。
特別な日のお料理として安心してお召し上がりいただけることと、よい食材を常に仕入れて確かなものを提供すること。その2つを常に考えています。